「あるレーサーの死」クレイジーケンバンド
この歌は2000年のアルバム『ショック療法』に収録の曲ですが、もともとはCKB用ではなく、或る著名な女性歌手の為に書き下ろした曲でした。この曲のメロディーが浮かんだとき、爆発的大ヒットを予感して、周囲の人々にもそれとなく自慢して、布団に入ってからも「遂に俺も筒美京平になれる日が来たぜ!」なんてネズミっぽく笑っていましたが、現実というのは残酷なもの。競合の作曲家が多数、作品を持ち寄ったコンペから見事に漏れて不採用となり、そのまま幻のメロディーとなるところでした。
で、その後、ちょっと経って「もしかしてこれをフレンチ仕様に仕上げたらいい感じに化けるのでは?」という予感がしたので、モナコ公国のモンテカルロ、そして巴里を舞台に、男と女と雨とモータースポーツを題材とする歌詞を載せたところ、なんだか非常に俺好みの質感の楽曲になっていきました。あの時、コンペに落ちて本当に良かった。もはやこの曲は『ショック療法』にはなくてはならない重要な1曲になったんじゃないでしょうか(自分で言うしかないので自分でそう言いました)。
では、なぜ、「あるレーサーの死」というタイトルなのか。同タイトルの架空の映画の主題歌って感じもしますが、まったくそういうラインを狙ったわけではありません。そういうタイトルが勝手に出て来たからです。勝手に出て来るぐらい、モータースポーツが好きだったってこともあるでしょうけどね。で、歌詞の内容や曲調はともかくとして、とにかく、理屈抜きに歌っていて気持ちの良い曲なので、こう、最後まで歌い切るとスカッとします。
福沢幸雄
高度成長期を疾風のごとく駆け抜けた伝説のカーレーサー、クリエーター、ファッション・モデルの福沢幸雄。俺も含め、昭和40年代当時のカーキチ小僧の多くが「あんな大人になりたい!」と憧れた超級的人物であり、まさに「あるレーサーの死」の世界を地で行く人でありました。
「ソーロング・サチオ」
元スパイダーズのムッシュかまやつのソロ・アルバム「ムッシュ」に収録の福沢幸雄追悼歌「ソーロング・サチオ」は、あの時代の「キャンティー」な空気感をまんま真空パックした和製ソフトロックの神曲です。
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