HongKongFeelings
香港的質感
俺が今、一番行きたい海外は東洋の真珠こと香港です。昨日までは全然そう思っていなかったのに、何故か突然、香港が恋しくなり居てもたってもいられぬ気分になっています。恋と同じで理由なんてものはないのですが、数年に一度、香港症候群に襲われます。過去に30回前後訪れてますが、とにかく香港の魅力は胸に甘く切なくやるせなく迫るあの感じです。だから香港は敢えて一泊二日とか、二泊三日ぐらいの超ショート・ステイとし、後ろ髪を引かれる想いで帰国するのが好きです。「そんな短い滞在で香港の魅力を堪能できるのか?」と言われそうですが、俺のバヤイは香港事情に詳しくなることよりも、香港を感じることが重要であり、それが結果的にメロディーやサウンドに翻訳できればなお嬉しいといったところでしょう。ですので「香港のおいしいレストランはどこ?」とか訊かれても、あまりちゃんとは答えられません。予備知識なしに体当たりってのが好きなので、飯を喰うんでもだいたい飛び込みで入るのが殆どだし、その店名とか場所とかもよく覚えていません。でも、確実に覚えてるのは香港のあの「感じ」です。それは朝でも昼でも夜でも夜中でも夜明けでもそこにあります。古くは映画「慕情」や「スージー・ウォンの世界」、中学時代に観まくったブルース・リー出演作品(「燃えよドラゴン」「ドラゴン怒りの鉄拳」「死亡遊戯」他)、そして90年代中頃に香港の映画館で観て、広東語で何言ってるのか分からないにも関わらず、その映像のやるせなさに心をかき乱されたアニタ・ユン(袁詠儀)主演の「つきせぬ想い」(新不了情)などなど。これらの香港的電映作品に共通するのは、呼吸が困難になるほどのやるせない窒息感です。よっぽどのことでもない限り映画を集中して観るなんてことのない俺でも、最後まで見ちゃえたのはそういった理由からです。で、なぜ、今こういう気分になっているのかを理屈抜きに理屈っぽく考えてみると、この12月という歳末感が、所謂ひとつの終末感であったり、焦燥感であったり、何か胸に熱く込み上げる感情を喚起させるからなんじゃないかな?と思うに至りました。たまたま夕べテレビでやってた「8時だヨ!全員集合」の4時間スペシャルを見ていて、「俺たちひょうきん族」など目もくれず、最終回まで「8時だヨ!」を支持し続けた数年間と、時間の経過の儚さに涙が出たという部分ともリンクしてるかも知れない。前後しますが、「つきせぬ想い」も1993年製の映画ということもあって、1997年の返還を4年後に控えた香港の人々のメンタリティーがあぶくの粒々となって映像に質感的に立ち上っているようなそんな気がしました。この映画に限らず、1990年代に描かれた作品の多くにはいずれもそういった粒々が感じられます。俺にとっての『Middle&Mellow』ってのは音楽だけを指すのではなく、こういった「儚さ」をソースとする感情であったりもします。CKB香港関連のCEEDEEご紹介します。多謝!
1:「SUZIE WONGの世界」収録の『Crazy Ken's World』。
2:「SUZIE WONGの世界-山下町mix-」収録の『肉体関係』。
3:「香港グランプリ」収録の『CKBB -OldiesButGoodies-』。
4:「混沌料理」収録の『GALAXY』。
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