もうじき完成するクレイジーケンバンドの10th アルバムが8月13日に発売決定となりました。アルバム・タイトルは当初の予定通り『ZERO』です。
1998年の1st『Punch! Punch! Punch!』以降、昨年の9th『SOUL電波』に至るまで「前作がこうだったから今度はこうしよう」みたいな意識ではやってないです。ニュー・アルバムはニュー・アルバム。ニュー・アルバムが出るからと言って、過去のCKB作品が消滅するわけではないので、常にその時、その時のモードで、やりたいと思ったこと、やれることを迷うことなくバンバン投入して作ってます。にもかかわらず「クセ」みたいなものは自然と出るもので、今度の『ZERO』にしても、そういう部分はきっとあると思います。
俺個人もCKBのメンバーも色んなタイプの音楽に影響を受けているのですが、それは明確なものもあれば、知らず知らずにというのもあれば、音楽以外のものからの影響が音楽に変換されたものもあります。中でも去年の「タオル」のように甘い柔軟剤の薫りにインスパイアされて出て来た曲のように、薫りからの影響というのは非常に大きく、今作収録の「宇宙興業」って曲のイントロのピアノのメロディーは、昨年のツアーの某所のホテルの「異臭」をメロディー化したものです。ホテルの人に迷惑がかかるといけないので、どこのホテルかは言えませんが、それはそれは心をグサグサにする、なんとも言えない異臭でした。イヤな匂いなんだけど、なんとも懐かしさを揺さぶる匂いというか・・・。でも、もう二度とそのホテルには泊まりたくありません。しかも、そのホテルだけでなく、その街の至るところにその匂いはあって、例えばその街のラーメンの味は、その匂いに一致する妙な味でした。一体これは???
前にも言いましたが、これまでのアルバムとの大きな違いは曲間ジングルがないという点です。「これまで続いた伝統を10作目を区切りに・・・」なんてことではなく、また21トラックに拘ったというわけでもなく、単純に収録時間がギリギリだったのでジングルを入れる隙間がなかった、というのが最大の理由です。ジングルを外すか、楽曲を外すかの選択で、迷うことなく肉である楽曲を選んだわけです。
今作はとにかくドラムとベースの音色が抜群にいいです。バンドの生演奏というのは、生のGROOVE、生の空気感、生の躍動感というものがある反面、「打ち込み」とは違って、音と音が緩衝して、各パートの音の抜けが悪くなったり、ダンゴ状態になったりするので、そこをなんとかできないかと色々とトライしてみたんですが、生音の魅力を損なうことなく、「打ち込み」以上の抜けの良さと、ボトムを実現できたと思います。サウンドの要はドラムとベースの音色です。ドラムとベースさえイイ音で録れれば、あとはどんなに無茶をしても、いい感じに各パートの音が調和してくれます。以前から、どうすればいいのかはなんとなく分かってはいたのですが、それを実現するに当たっては、理屈では訳せない様々なハードルがあります。そのハードルとはつまり「常識」ってやつです。「常識」の音楽形態から解放されたくてCKBをやっているのに、どこかで「常識」と折り合いをつけなければならなかったのは、まだまだそれをぶった斬るに相当するスキルと方法論がなかったからです。でも、今回、独自の製法(社外秘)でそれを発見できたことによってまたまた現役稼働時間を延命できたように思います。
収録曲はざっとこんな感じです。
(タイトルはほぼ確定ですが変更になる可能性はあります)
1:ランタン
2:湾岸線
3:猫
4:デトロイト音頭
5:中古車
6:夏
7:ハマ風
8:蜂
9:島の娘
10:零
11:Precious Precious Precious
12:亀
13:魚
14:宇宙興業
15:福富町ブーガルー
16:人間摩天楼
17:音楽力
18:珊瑚礁
19:タイトル未定
20:Lookin' your eyes
21:SAYONARA
現時点でやれるだけのことはやり尽くしたと思います。あとはリスナーの皆さんに気に入ってもらえれば最高です。
シンセ・ダビングで使用したヴィンテージなアナログ・シンセ各種。
左より、プロフェット5、オーバーハイム、ムーグ(色がメリメリだぜ!) |