『青山246深夜族の夜』(2000年)
正直言って、個人的には「あ〜あ」または「アイヤー!」または「哀号!」な音源でした。但し、それはこの実況録音盤のミックスを行う以前の「原音源テープ」を聴いた時の印象がそうだったのです。
「これじゃあ発売できないよ!」と言って周辺スタッフを困惑させた俺ですが「そこをなんとか」ということで、神奈川区浦島にあるガンボスタジオで、この難解な音源の整形大手術に取りかかったわけです。カスタマイズというより、レストアですけどね。自伝「マイスタンダード」にも書きましたように、この夏の夜のライヴは非常にRED HOTな素晴らしいもので、荒削りでガレーヂパンクなプレイながらも、言い尽くせぬ念と熱と興奮とが場に立ちこめていたのです。そこには発展途上期CKBとしての先行き不安を含めたヤケクソ・パワーの成せる業もあったりしますが、それも火事場の馬鹿力=マイスタンダード。「きっと、素晴らしい音が録れてるに違いない!」そう思って期待してテープを聴いてみたら冒頭の「あ〜あ」または「アイヤー!」または「哀号!」な音だったのでガックリ。つまり、あの夜、あの場にあったあの興奮がすっかり抜け落ちたトホホな音だったのです。そこで、あの夜の音を念写するが如く、ガンボの川瀬エンジニアに色々と常識的にも、音響工学的にも無理な注文をたんまりしまして、遂にそれが蘇ったという奇跡の音源なんでやんす。一昨年、この盤を一旦は生産中止にしましたが、6月20日に再発しますよ! 但し『ザ・自宅』同様、CKBビギナーの方には絶対オススメできません。重度のCKBマニアまたは重度の野坂昭如ファンの方だけに聴いて頂きたい。そういった一念からこの盤はALMOND EYESのメジャー配給ではなく、P-VINEからの配給となります。製品番号が異なる以外、ジャケのデザインも、スリーブも、内容はまったく以前のままで出します。
ちなみにこのジャケットは1964年に行われた第二回日本グランプリのレース風景で、先頭をぶっち切ってるのは、式場壮吉選手のポルシェ904GTS、それを追いかける右側のマシンは生沢徹選手のプリンス・スカイライン2000GTです。ちなみに式場選手の奥さんはあの欧陽菲菲さんです。
|